Iceland
Greenland

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氷と火山の島の馬

3 Helster
3 hestar

Part 1 Welcome to Iceland

  Iceland - where you can see the Northern Lights
 

火山、氷河、ギャオ、オーロラ、ジュール・ベルヌの地底探検の入口、海岸まで流れる溶岩流。。。「アイスランド」といわれて思い浮かぶのはそんな言葉だ。出かける前のこちらの知識もそんなもの。せいぜいそれに、ビヨークとアイスランドの馬が加わっている程度。とにかく北へ。夏なのに冬の装備をバックに詰め込んで出発した。

23:20PM。Londonから2時間でKefravik Airport着。KefravikからReykjavikまでバスで約1時間。各ホテルやホステル、キャンプ場などまで送ってくれるという。深夜に異国についた心細そうな客が多少安堵の表情になる。

ブルーグレーの空にぼんやりと光る帯があった。Northern Lights。学名Aurora Borealis。そういえば、学生の頃、文通の相手に、「オーロラがみえるのか」と書いて送ったところ、「オーロラってなんだ?northern lightsならみえる」と返事をもらったことがあった。ロマンティックな響きの「オーロラ」も、ここでは「北の空の光」でしかない。8月中旬のこの時期は、まだオーロラのシーズンではなかった。Northern Lights は10分ほど夜空をゆらいで、消えていった。

リムジンバスが街中に近づくと、真夜中なのにTrafficJam。公共バスは人で溢れんばかり。北国は娯楽が少ないから、夏の間は毎週末のドンちゃん騒ぎなのか?!と思ったが、そうではなかった。レイキャビックに到着した8月17日、街はお祭りだったのだ。(マラソン大会があったらしい)この渋滞にまきこまれ、ホテルに到着したのは、深夜2時をとうに過ぎていた。

  To the farm
 

翌朝8時半。タクシーでバスターミナルへ。レイキャビックからバスで、南のファームランドを目指す。バスの中は、トレッキングに向かうバックパッカーばかりだ。この路線は夏の間だけの運行。終点はトレッカーのメッカだという。

街をでてしばらくすれば、すぐに溶岩台地だ。木はない。「アイスランドの森で迷ったら、立ち上がれ。」低木以外の木はほとんど見当たらない。その昔、バイキングがこの島に渡ってきたころには、Birchの森があったという。度重なる火山の噴火、放牧や人のたきぎとなった。

山のふもとから、地熱の煙があがっている。火山帯の上に位置するアイスランドは、火山の島、そして温泉の島だ。

高台から下っていくと一挙に視界が開けた。広がる平野、遠くに海。さらに向こうにみえる島々。そして左手前方に白く輝くもの。そう、山上の氷河が輝いているのだ。

バスの中では、突然おじいさんが大きな声で歌いだした。まわりのトレッカーたちは迷惑そうに顔を見合わせている。おじいさんはそんなことには一向に構わずに浪々と歌っている。何語だかわからない。歌い手はいい気分らしいが、やけに哀愁に満ちた調子だ。みなは必死に窓の外を眺めている。

晴れた広い空の下に、温室や牧草地が広がっている。羊や馬が草を食んでいるのが見える。遠くの氷河から流れてくる川は、白濁して勢いよく流れてゆく。橋はしばしば流されたことだろう。バスはその橋をゆっくりと渡ってゆく。氷河をいただく山々が次第に近づいてくる。

時々、テープで沿線の解説が入る。アイスランド語と英語だ。夏季限定の運行のせいか、観光客向けのサービスなのだろう。橋を渡るとき、遠くに山が見えるとき、次の停留所に近づいたとき、遠慮なくテープが流される。

途中休憩を挟みつつ、小一時間でHellaに到着。Hellaと書いて、へトラと読む。アイスランド南部平野の真ん中。馬や羊など牧草地帯の中心だ。バス停+ガソリンスダンド+ミニマーケットには、今回のRiding Tourのガイド、Jon(ヤン)が迎えてくれた。寡黙だが朴訥、というのが第一印象。4駆車は、舗装されたメイン道路から、未舗装の農道へ。左右に馬や羊などの農場をいくつも通り過ぎながら、内陸へと入っていく。車で約10分から15分で、JonのFarmに着いた。

  Sunny Afternoon at the farm
 

Farmlandのちょっとした丘の上に、自宅とFarmStay用のドミトリーが立っている。屋根は土をのせ草をはやしたアイスランド独特の草屋根だ。ターフ(Turf)と呼ばれている。保温に優れているだけでなく、まわりの景観に調和していて、優しい。丘のまわりには木々が植わっている。あとから聞いた話では、ここに移り住んできたときに植えたものだという。20年以上たっているとはいえ、木の高さは3〜5mほど。印象としてはそんなに大きな木ではない。が、アイスランドとしてはたいしたものだ。

棲家は住んでいる人を表す。遠めに見ても、なんだか居心地がよさそうだったFarm。だが、なんといっても一番の嬉しい驚きは馬だ。ドミトリーになっている家のすぐ脇の草地に馬の群れが放たれている。窓のすぐよこで馬が草を食んでいるのだ。むしゃむしゃ、という音が、家の中にいてもよく聞こえる。なんだか犬と同じようなペットとして馬が飼われているような感覚に陥る。平和な食事の音を子守唄に、昨夜の睡眠不足を解消すべく、Napをとる。


Lazy Afternoon

午後、今回のツアーに参加するという女性が到着した。デンマーク人だが、ドイツ人と結婚してドイツに住んでいるという。前日に到着していたもう一人の参加者は、ドイツ人だが、アメリカに住んでいる語学教師。このFarmの女主人、Jon の奥様のNicoleはフランス人だが、Jonと結婚してアイスランド在住。なんともややこしい話である。


Mr. Hekla
最後に噴火したのは2年前

ツアーに出かけるのは翌日から。ということで、デンマーク人ドイツ在住の彼女と一緒に近所に散歩にでかけた。夏も終わりに近づいているとはいえ、この日は本当にいい天気。Hekla山の方角に、ぶらぶらおしゃべりしながら歩いてゆく。

そこここで羊や馬が日長のんびり草を食んでいる。それぞれが牧草地に広がりつつも、群れとしてのコミュニケーションはとっている。遠くの牧草地で草刈をしている人影はみえるものの、道をぶらぶら歩いている人は他に誰もいない。こちらが近づいてくるのを見て、駆け寄って偵察に来た馬もいた。羊も好奇心旺盛なのか、のぞきに来る輩がいる。

 

アイスランドの馬は色とりどり。栗毛や葦毛、Mane鬣の色もさまざまだ。お気に入りの馬を探したり、見ているだけで楽しい。空気も澄んでいて、なんだかとってもハッピーだ。

川、目指してあるいたが、結構距離があるらしい。あきらめて途中で引き返してきた。その後しばらく家の脇の馬の群れを眺めて日光浴。明日乗る馬はどれだろう?どれに乗りたいか?どれがどんな正確か?群れのボスは誰か?とりとめのないおしゃべりで、アイスランドの午後が過ぎてゆく。

夕飯は8時ごろ。メンバーが3人だけなので、家族の食卓に呼ばれて一緒に食べる。メニューはチキンだったか、ラムだったか。大皿から取り分けて食べる。

 


The Moon over the farmlands

もう一人、明日からのツアーの参加者だというアシスタントのKarinが食事のサーブを手伝っている。彼女はスイス人で、Nicoleのところを手伝うのは今年で3年目。代用教員をやっているとかで、ここ数年夏の間はアイルランドやアイスランドなどで乗馬の手伝いをしているとか。スイス人だけあって、ドイツ語、フランス語、英語を話す。アイスランド語は勉強中だそうだ。食卓でも、Nicoleとの会話はフランス語、その他家族とはアイスランド語とフランス語ちゃんぽん。私たちとは基本的に英語で話すが、他の2人がドイツ語OKなので、ドイツ語で補足したりする。ヨーロッパにきたなあ、という実感がわいた瞬間でもあった。

ここに日本人が来たのは今年がはじめて。私の前に、日本人のグループが来たらしい。なんでもモンタナに住む日本人がコーディネータだったとか。ロンドンからの飛行機の中でも数人みかけたが、ヨーロッパの駐在員の家族や留学生の温泉旅行風だった。馬乗り人口の少ない日本でも、いるところにはいるのだろう。

夕飯が終わっても陽はまだ沈まない。Jonは、テーブルから早めに立ち上がって、牧草の刈り取りに出かけていった。外は11時ごろまでほんのり明るい。遅くまでトラクターの音が響いていた。

 

Part 2 乗馬ツアー!に続く

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