Sado鶯と鳶と海と山と田んぼと▲ |
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Sado Island on the local bus o | |
海の向うに”おとぎの島”がある。のだろうか。 新潟から両津へ。フェリーで2時間半、ジェットフォイルで1時間。へだてる海は約50Km。ジェットフォイルに乗ると、館内放送でシートベルトの着用を促している。なんでもかつて鯨にぶつかったことがあるとか。朝一番のジェットフォイル。気絶したように寝ていて、到着のアナウンスでどばっと目覚める。目の前に特にどうってことのない港。港の向うには軒の狭い家並み、さらに先に残雪を頂いた山並が見えた。ドンデン山と呼ばれている山並だ。美しい。 ターミナルを抜け、おみやげ物屋を横目にエスカレータを降り、バス停へ。9時に港に接岸して、9時10分の岩谷口行きのバスに乗り込む。きたのはマイクロバス。両津の町並みにあるいくつかのバス停を過ぎたところで、運転手が「お客さんたち、どこまで行くの」と声をかけてきた。乗客は5人。私以外は、中年の夫婦2組。1組は親戚の家にでも行くのだろうか、すぐに降りていった。ということで観光客3人の貸切路線バスの旅がはじまったのである。 |
Sotokaifu 外海府−二つ亀−願−大野亀 | |||||||
内海府と呼ばれる両津側の海岸線は、湾になっているせいか、波は比較的穏やか。山が海岸線まで張り出しているので、耕作可能な土地はほとんどない。海岸と山の隙間に、家をたて、わずかな土地を耕して、海にでて暮らしているのだろう。道は狭く、多少舗装しなおしているとはいえ、まだまだ交通の便がよいところとはいえない。乗っているこの路線バスも4月の末から運行を再開したばかり。冬の間は路線バスも通らないのだ。右手に海、左手に山。いくつかの小さな集落を抜け、突端に向けてバスは走る。 「貸切みたいなもんだから、早く着くのかなあ」。乗り合わせた夫婦は、右側の座席で海を見ながら、「わー、きれい」「そうだねー」などと言い合っている。なんだかとってもほんのり温かみのある夫婦で、その場が和んでいく。 途中、「願までおねがいしますんだ」とおばあちゃんが乗り込んできた。「あらま、地元のおばあちゃんが乗ってくるなんて珍しい」とバスの運転手もびっくり。その停留所で時間調整とかでしばらく停車したあと、さらに先に進む。運転手はこの辺の見所やら、道に飛び出してきた蛇についてしゃべったりと、観光ガイド状態に。 1時間ほどで二つ亀に到着。3人とも降りる。さらに先に行くバスは、午後14時過ぎになる。大野亀までぶらぶら歩いていっても十分時間がある。春うらら。ハイキングには絶好の日和だ。なんといっても海が蒼い。
海岸沿いの遊歩道に進もうとしたが、落石の危険ありの看板がでていて断念。うー。ということでさっき見たおばさん軍団同様、こちらもぜいぜい息を切らしながら、降りてきた道を再び登る。カラスがあほーと鳴いた気がした。 上の道をてくてくと歩く。それにしてもたくさんの鳥の声。山はサクラのピンクと、若葉の黄緑がまだらになって、パステル画のようだ。北国では春はいっぺんにやってくるというが、ここでもいっぺんに春がやってきているのだろうか。春の足跡が山に残っている。
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大野亀 カンゾウの花 | |||||
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尖閣湾 田植え | |||
乗り換えたバスは、普通サイズ。バスのサイズは、乗客数を表すはず。さっきまでのマイクロバスと比べると、沿線の人の往来が予想できる。道は、海岸沿いというより、崖上を走るようになり、まわりに畑や田んぼが増えた。途中の停留所は小学校の前。下校の生徒が20人近く乗り込んでくる。定刻まで待って、乗り遅れる子がないようにしている。バスの中は一気に活気付いた。一番前の出口近くの席に陣取ってみていると、停留所ごとに降りていく子供たちが、必ず「ありがとうございました」といって降りていく。とってもすがすがしい。それも型どおりの挨拶というより、心がこもっているように感じられたからだろうか。 バスの運転手に尋ねて、尖閣湾で降りる。その先相川まで一気にいってしまおうか迷ったが、せっかく風光明媚でしられる尖閣湾。まだ遊覧船に乗れるだとうとあせって乗り場へ。最後から2番目の船に乗れた。グラスボートとかいって、海中がのぞけるようになっているが、のぞいていたのは、出発後の2、3分のみ。あとは、荒れる波にもまれて、海はあわ立っていて海中は見えず、船も揺れて下をずーっと向いているのは辛い。かといってまわりの景色を堪能するほどの余裕もなく、まるでジェットコースターの左右上下前後揺れありバージョン。15分のショートクルーズだったが、風光明媚な景色の印象はないまま下船。まあ船酔いしない程度で楽しかった。
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朱鷺なのだ | ||||
朱鷺なのだ。佐渡といえば。それなのに、朱鷺保護センターまでいくのは至難の業だった。 保護センターがあるのは、新穂村。昔から朱鷺が生息していたところ。一番近いバス停は南線のバス停。この路線の運転手は知っていたのか、知らなかったのか、新穂村のバス停でわれらを下ろしてくれた。あとで聞いたら、もっと近いバス停があったそうだ。延々と歩くこと45分。4km以上はあったろうか。あとでわかったことだが、地元の人はあまり興味がないらしく、場所もよくわからないし、学生時代に学校からの見学で行ったっきりという人がほとんど。そう、こちらだって上野動物園なんて、10年に1度くらいしか行かない。バスから一緒に降りたおじさんとえっちらおっちら、田舎の一本道を歩きに歩いた。途中ゲートボールをしている人たちに道を聞き、用水路の整備を演歌をかけながらしているおばあさんに挨拶し、田んぼの耕運機を横目に見ながら、とにかく歩いた。 ようやく保護センターの入口付近までやってくると、あれー、昨日バスで一緒だった夫婦が目の前に。なんでも佐渡に住んでいる友人宅というのがこのあたりなんだとか。奇遇である。旅行中よくある奇遇ではあるが。ひとしきり昨日からの半日間の話をして別れ、センターに向かう。
保護センターから両津行きのバスが土日だけ1日2本だけあるというので、しばらく時間をつぶして、センター下のバス停に向かう。またしても、昨日の夫婦と遭遇。よほど縁があったあらしい。何度あっても、明るく気さくな夫婦だった。帰りは歩かずに両津までバスで直行。港のフェリーターミナルのバス停で降りて、お土産を買い、歩いて旅館に戻る。今夜は薪能だ。 |
Takiginou 薪能 | |||||||||
なんと500円で薪能が見られるのだ。これを見ずして帰れようか。 佐渡には能舞台が数多くある。都から流された人が多く住んだせいであろうか。料理の味付けも関西風だし。山椒大夫の舞台もここ佐渡。民話や鬼太鼓など、こんなに狭い佐渡なのに祭事にまつわる芸能が盛んなのだ。とはいっても、祭事用の芸能では、年に1度しか行われない。観光向けに、また地元芸能の保存のために、両津市が薪能を月1回のペースで春から秋まで実施しはじめたのはここ数年のことだという。舞台は、両津に面する加茂湖を見下ろす高台にある椎崎諏訪神社能舞台だ。
鋭い笛の音が夜空を劈く。梟の低音が伴奏のようだ。謡も迫力があって、以前誘われて見に行った東京でのアマチュア舞台より格段に上手い。思わず前のめり。
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Food/Drink | |
北雪。イカ。アイス |
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